Instron75周年
Instronは、1946年の創業以来、材料試験で世界をリードしてきました。以来、世の中では多くのものが変化してきましたが、優れた試験機に対する当社の姿勢は常に変わらず今日に至ります。過去75年のハイライトの一部を振り返ってみましましょう。
創業当時
平和のために
ノルマンディに上陸する第82師団と第101空挺師団の写真をご覧になったことがあるかと思いますが、これらの落下傘部隊が使用したのはナイロン製のパラシュートでした。
1940年代初頭の科学者たちは、戦争のために絹が入手できなくなり、パラシュートの開発に使用する代替材料を特定することを切望していました。そのうちの2人は、ハロルド・ヒンドマンとジョージ・バールでした。
新しい機械装置
マサチューセッツ工科大学(MIT)に在籍していた、ハロルド・ヒンドマンは、試験室内に、ナイロンやレーヨンなどの新素材の繊維の適切な評価に使用できる装置がないことを知りました。対して彼の同級生であったジョージ・バールは、地震発生地域で使用される建築材料の評価に使用されていた「ひずみゲージ」と呼ばれる新しい技術を使って実験を行っていました。
そこでハロルドとジョージは知識を融合させ、ひずみゲージをロードセルのトランスデューサーとした新しい試験機器を製作しました。この発明によって、この新装置は当時の試験機よりはるかに高い頻度で試験することができ、新素材の繊維を評価するのに完璧のものでした。
Instronの誕生
ハロルドとジョージの新しい装置は、ナイロン製パラシュートコードの動的機械的特性を正確に測定し、パラシュートの製造において、これらがシルクの代替品となることと価値をすぐに証明することができました。軍へ技術を提供し、この試作試験機は非常良い成果を生んだため、1946年に独自の企業、Instron Engineering Corporationを結成することを決定しました。
ご存知でしたか?
このInstron試験機原型には、独特のクロスヘッド駆動システムが組み込まれており、これは海軍艦艇のレーダーアンテナ位置決め駆動に類似していました。
1950年代
初頭
創業時Instronは、マサチューセッツ州クインシーのマザーソンマシンワークス社と提携し、事務所と従業員の提供を受けました。Instron試験システムの初回ロットは、マザーソンが所有するマットレス倉庫で製造しました。皆遅くまで働いていたので、仮眠時にはマットレスがとても便利だったそうです。
初出荷
初回納品分のInstronの装置の1台は、ニュージャージー州プリンストンにある繊維製品研究所でした。
世界初の卓上試験機
1950年代半ば、Instronは初の卓上試験機を設計し、導入しました。創業時15年間は、試験機の主要部品のうち3つは第二次世界大戦の部品の残りを使用しました。
データ処理
紙の試験するために自動読み出し機能とデータ収集機能を取り入れたのはInstronでした。これは世の中にパソコンが出回るはるか以前の1957年のことでした。試験結果の自動印刷技術は、Instronの技術者が設計した電磁作動機械式NCR計算機で達成することができました。Instronはこの間に産業用ロボットが世の中に存在する以前に、自動鉛筆リード試験機も製作しました。
ご存知でしたか?
新しいカントン工場への移動は週末の数日で行われ、翌月曜日の朝には工場がフル稼働していました。
ホーム・スイート・ホーム
ボストン地区周辺のレンタル施設を数回移転した後、ようやくInstronが自宅を建てる時期がやってきました。1957年、ハロルドとジョージは、マサチューセッツ州カントンに最先端の新工場の礎を築きました。
1960年代
Instron大西洋を渡る
1960年にInstronは英国に拡大し、ハイウィッカム(High Wycombe)にInstron 英国 本社を設立しました。Instron英国本社の設立は、欧州での製造・マーケティング・販売・サービス需要の高まりに対応するためでした。
新時代の材料ブーム
60年代の材料技術は、急速な速度で進歩していました。Instronは世界一の最先端企業の要求に応え、新時代を突破する手助けをしました。
ますます熱い製品群が追加
1964年、Instronは初となる光学式伸び計と長伸度伸び計、そして初の恒温槽を発表しました。1965年には、電気機械式試験機として初の荷重ひずみ制御システムを導入しました。
新開発を掌握するグリップ
1960年代には、当社の機械式くさびグリップおよび空気圧式グリップの初期モデルをはじめとする、好評いただいている当社の製品類が開発されました。
ご存知でしたか?
「Instron」という名前は、「instrument-装置」と「electronics-電子機器」という英語の造語です。
デジタル化へ
1960年代における他の Instronの成果としては、初のデジタル式試験記録装置(増分パンチテープシステム)と、材料試験機にマイクロプロセッサーを初めて使用した1161モデルのデータ分析機があります。
Instron日本に到着
1965年、アジア太平洋領域のマーケティング、営業、サービスをサポートするために、インストロンジャパン カンパニイリミテッドが設立されました。
Instronの清涼飲料水向けパッケージソリューション
Instronの装置の人気が高まるにつれて、アルミ缶のプルタブなど、あらゆる種類の製品や材料の特許取得が盛んになりました。
自動車の実績
1970年には、シートベルト試験用グリップと初の道路シミュレーション試験機が発明され、自動車試験産業にInstronが最も貢献したことが評価されました。また、人気の高かった1120シリーズ卓上システムの製造も開始しました。
揺さぶられる時代
1970年代に振動試験用のシェーカーシステムを導入しました。当社初のシェーカーシステムは、スタンドアロンマシンとして、また、油圧サーボ試験機と並んで複合システムとして導入されました。
欧州における事業拡大
1976年にInstronはフランスとドイツに新しい製造工場を設立しました。
Instron救助する!
ニューイングランドが1978年の有名なブリザードに襲われたとき、Instron本社は1m以上の積雪の下に埋まってしまいました。同ビルは、米国赤十字社から非常避難場所として指定され、道路が通行可能になるまで5日間、400人以上がInstron工場に避難することとなりました。
1980'年代
Instronの活躍-フラットタイヤ
ランフラットタイヤは、今や小型トラックや乗用車では、予備タイヤの必要性を減らすため、一般的になっています。この1981年の特許で、Instronは、タイヤの強度を試験するために、突き刺した試験片に1000ポンドの圧縮荷重を加えています。
デジタル化の進行
コンピュータの高度化に伴い、初のフルデジタル化した電気機械式試験システム(4200シリーズ)と初のフルデジタル化油圧サーボシステム(8500シリーズ)を発表しました。また、初の完全自動試験システム、自動ロボットシステムTestmasterを発売致しました。
製品ラインナップの拡大
また、1980年代には、2軸油圧サーボ試験機や初の自動伸び計など、いくつかの新製品が登場しました。
吸収合併
長年にわたり、Instronはいくつかの有意義な吸収合併を行い、材料試験システムの範囲を拡大してきました。そうして得てきたのは、この業界で500年分以上の経験に相当します。
Severn Furnace Limited (SFL)は1989年に設立され、そのとき、InstronはSeven Science Limitedから加熱炉製品ビジネスを買収しました。SFLは高度な高温加熱炉と温度に関わる装置の設計と製造でその評価を確立しました。
Instronアジアで事業を拡大
1982年にInstronは韓国に設立し、1983年には中国に初の営業所を開設しました。
1990年代
新世紀に向けたレース
1990年代には、初の非接触式ビデオ伸び計の販売を開始しました。また、絶対零度近傍で試験するシステム、 McLaren リグ(初の完全デジタル4ポスターリグ)、Labtronic 8800デジタルシミュレーションコンポーネント試験制御システムを製作しました。
ISTビジネスの取得
Instronは1996年にSchenck Testing Systems社から構造物試験事業を買収しました。これにより、自動車の性能試験のための製品群が広がり、Instron構造物試験(IST)として知られるようになりました。
Instronの活躍-子馬のためのポリマー
馬の足の中の様々な病変を治療するためにひづめパッドは馬ていと併用されることが多くあります。パッド材料は、動物の足に適合するのに十分な可鍛性があると同時に、その重量をサポートするため十分な強度が必要です。この1993年の特許では、新しい特注の接続部のひづめ詰め物のためにポリマーを分析するた際にInstronのレオメータを使用しています。
Dynatupの買収
Instronは、1997年にDynatup社を取得し、優れた衝撃試験装置を商品群に取り入れました。
SATECの買収
1998年に Instronは SATEC Systems社を買収しました。現在では、SATECブランドは Instronの油圧式万能l材料試験機の産業用シリーズとして知られています。ここをクリックすると、SATECの履歴を読み取ることができます。
2000年代
ミレニアム時代の新システム
新世紀は、エレクトロダイナミック疲労試験のElectroPulsシリーズや人気5900シリーズシステムなど、エキサイティングな新製品発表がありました。
上向きと上向き
2005年には、ITWが試験測定プラットホームの基礎としてInstronを吸収しました。また、工場をカントンからノーウッドに移しました。新しい施設はわずか数マイル離れたところにありましたが、デッドウエイト(実荷重式力基準器)を動かさなければならなかった社員はそれは大変でした。
CEAST買収
2008年、InstronはCEASTを吸収しました。このイタリアに拠点を置く企業は、総合的な試験装置として有名であり、ポリマーの衝撃、レオロジー、熱機械特性を評価用システムを扱います。
ご存知でしたか?
Instron 8870は、エピソード11のCSIマイアミシーズン2で特集されました。出演者は誰もシステムの操作方法を知っていなかったため、アメリカ本社のセールスの専門家であるケント・ワラスが抜擢されました。エピソード「複雑化」は2004年1月5日に放映されました。
新世代のソフトウエア
Instronは、静的と動的試験システム用に初のBluehillとWaveMatrixソフトウエアを導入することによって、コンピューティングのブレイクネックペースでの進歩を追い続けています。
ノーウッド本社
Instronのノーウッド工場では、すべての静的試験システムが製造されてます。また、有名なデッドウエイト(実荷重式力基準器)と、訪問客が私たちのシステムを見ることができる最先端のアプリケーションラボを併設しています。
2010年代
完全なひずみ測定のために
新世紀の2010年~2020年は、AutoX 750自動伸び計やAVE2非接触式ビデオ伸び計など、最新のひずみ測定ソリューションから始まりました。
自動試験機の需要拡大
2015年には、プラスチックなどの軽量材料向けに、3軸の非ロボット自動引張試験システム「AT3」を発売しました。これらのシステムは、完全な自動化であるため、オペレータの操作なしで何時間も連続運転することができます。
Instronの活躍-医療用バルーン
カテーテル、栄養チューブなどの医療製品は、バルーンと呼ばれる小型の膨張式パウチによって体内の所定の位置に保持されています。2019年の特許取得では、バルーンの伸びを測定するためにInstronの装置が使用されました。
タッチパネル式ソフトウエアを開発
2017年には、タッチスクリーン最適化に設計された初の材料試験ソフトウエア「Bluehill Universal」を導入しました。
そして現在
未来の試験
Instronは2020年に、最新世代の機械試験システム「6800 シリーズ」を発売しました。当社の6800 シリーズは、最大5kHzのデータ収集能力と0.5%の精度をロードセル容量の1/1000まで下げることができます。また、試験をこれまで以上にシンプル、スマート、安全にするために、当社のオペレータ保護機能を搭載しています。
世界の前進をサポート
Instronは、深刻な事態に支えとなる存在です。2021年の特許取得は、カーボンナノファイバーチューブのせん断試験を行うためにインストロンの装置を使用しました。これらのチューブは、SARS COV-19と戦うために設計されたエアフィルターの一部です。
75年間の発明
長年にわたり、Instronの装置は18,000件以上の特許取得し、航空宇宙、自動車、医療製品、電子機器、材料の進歩を形にするための役割を担ってきました。
世界標準
ハロルドとジョージが初めてひずみゲージをロードセルの中に採用して75年、Instronは材料試験システムの世界標準になりました。現在では世界中で50,000台以上のシステムが設置され、世界最大の製造企業の95%が当社のシステムを採用し、様々な試験要求を支えています。